Webメディア勃興期、数々のバズコンテンツやそれに伴う優秀なクリエイターを世に輩出してきた株式会社LIGが、2021年10月に代表取締役交代のニュースを発表しました。これまでWeb、及び、コンテンツ制作会社としてのイメージの強い同社は今後どんな変化を遂げるのか?16期を迎え、新たに代表取締役となった大山氏に、その胸の内を伺いました。
プロフィール(株式会社LIG 代表取締役 大山智弘氏)
新卒にて株式会社ユナイテッドアローズ入社。イギリス留学を経て、株式会社リクルートに入社。その後、ベトナム法人EVOLABLE ASIA Co., Ltd.代表取締役社長に就任。退任後は株式会社リンクバル入社。IPOを経験後、株式会社ケアクル創業。2017年より株式会社LIGに参画。
これまでのLIGと、新しいLIG。
ー これまで御社が生んできたコンテンツなどから「Webとコンテンツ制作の会社」というイメージが強い印象ですが、新しいLIGはどんな会社に変わっていくのでしょうか?
これまでのLIGを知っている皆さんからすれば、まさにWeb制作とLIGブログ(コンテンツ)の会社というイメージが強いと思います。私自身、5年前に参画をした時の会社イメージは、まさにそのイメージでした。
しかし現状からお伝えすると、元々得意だったWeb制作まわりやマーケティング支援の仕事を頂きながらも、現状売上のメインとなっているのは、クライアントのDX支援に事業をシフトしてきています。現在、会社はグループ合わせて300名の体制へと組織を拡大しており、海外リソースを活用したシステム開発や、ITコンサルティング部門を立ち上げた一気通貫の開発を強みにした会社へと変わっています。
元々LIGが強みとして持っているデザインや企画力と、新たに加わったITコンサルをかけ合わせた、【デザイン×コンサルティング】を強みにした会社がこれからのLIGだと思って頂けると嬉しいです。
ー これまでは(私たちの)目に見える側のコンテンツをつくっている会社のイメージでしたが、新たにITコンサルティングファームの機能も持ち合わせたイメージでしょうか。事業の方向性を変えた経緯についても差し支えなければ教えて下さい。
4-5年前にも一度、前々任の代表取締役退任や経営難など、会社として大きな変化を迎えたタイミングがありました。もしかしたら、LIGのことを”終わった会社”と思われた方もいたかもしれません。
会社の存続も危うい状況下の中で、Web制作という短期的なクライアントとの付き合いで終わるビジネスではなく、収支観点からも中長期的にクライアントと付き合える方向に事業をシフトする必要があった、というのが一番の理由です。そこで始めたのは、元々経験もあった海外リソースを活用した開発でしたが、Web制作をはじめとする短期的なプロジェクトには、コミュニケーションコストを踏まえ、非常に費用対効果の悪い結果になることは既に見えていて、海外リソースの活用ともシナジー・費用対効果の高い、中〜大規模のシステム開発に舵を切ったという経緯です。
ー 短期から中長期的な案件の取り方に変えてから、会社としても変化はあったのでしょうか?
5年前は半年以上の契約を持つ会社は0でしたが、現在は半年以上の長期契約を持ってお付き合いしている企業からの売上が単月の中でも65%を占めるなど。経営としての足元は、かなり強固になりました。実際にそういった付き合いに変えたことで、長期的な付き合いの中から短期的な制作の依頼を頂けたたり、短期的なお付き合いから長期的な案件に繋がったりと、新旧の事業にいいシナジーを生む結果となりました。
「社長の交代は自分から提案した」16期を迎えて、新体制を図った経緯について
ー 世に出すコンテンツと共に、経営者自身の露出も多いイメージのあったLIGの社長が変わることに驚いた方もいるかと思います。今回、新たに体制変更を行なった経緯についても教えて下さい。
先ほどお伝えした、新しいLIGの事業展開と合わせて、今後はグローバルにも裾野を拡げていきたいと考えていく中で「誰が今後のLIGを引っ張っていくのか?」という議論が一番のポイントでした。
前任の代表取締役社長(現 代表取締役会長)である、吉原ゴウのことは多くの方が知っているかと思いますが、彼は「クリエイター」として面白いことを世の中に発信していく力はダントツに優れている人材です。しかし、新しいLIGにおいては、そのクリエイティビティを活かした上で、更に必要なパートがあるはずだという議論になりました。その時に、元々海外での事業立ち上げやグロースの経験を持った自分が、代表取締役の役割を担った方がモノゴトがうまく進んでいく、シンプルに事業にフィットした能力を持った人材がそこを担うべきだよね、ということを吉原個人・ボードメンバーとも話して今回の体制変更に至っています。
ニュース的には、突然の発表の様に思えた方もいるかと思いますが、2年ほど前から議論を続けており、自分自身もそうなることが最適だと思えました。なので、今回の代表取締役社長の交代は、実は私から提案しているんです。
ー そうだったんですね!(驚)
それに際しては、当然僕自身も自分の立場と会社の業績に、より責任を追う様な決断もしていますし、ただの雇われ社長にならないリスクを取ったからこそ吉原も僕の提案に耳を傾けてくれたんだと思います。
0-1の起業は、アート。10→11の経営は、ロジック。
ー 自身での起業を0→1と捉えた場合、今回の様な10→11、10→Xにする様な、積み上がってきたものを進化、または変化させていくという立場や役割についての大変さがあれば教えて下さい。
私自身、今回で4社目の経営にはなり、そのどちらも経験している立場からお話しさせて頂きますが、どの立場にも大変さは当然あると感じます。
感覚的な表現ですが、0→1はロジックが通用しないアートみたいな領域だと感じます。反対に、10→11に成長させる経営はロジックですね。現在、僕がやっていることもすごくシンプルで、4象限の中で事業を分けて「簡単・難しい」と「儲かる・儲からない」とを引いて、【簡単で儲かる】ことをやる、っていうシンプルにそれだけです。
ー なるほど。でも、それだけだと誰でも出来そうな印象も受けますが・・
分けること自体はすごく簡単です。次に大事なのは、「人の見極め」。つまり、それを誰がやる・どういう人材が担うのか、がすごく重要です。ここは、ある種センスが問われる部分だとも感じます。例えば、スタートアップでよくある様な創業者同士のケンカも一つの例ですね。どんなに優秀の方たちでも”人”の部分は、簡単に見違えてしまうことがよくあります。だから、人の面談にはきちんと時間を割きます。そこを見極めた上で、4象限の中の【簡単で儲かる】に注力していくのがこれまで僕がやってきたことです。
ポジショニングを決めて、人を揃える。そして、それを加速させる要素として一番いいのは、その事業に自分のこれまでやってきたケイパビリティ(能力)が合うこと。ここまで揃えば、成功の確率はかなり上がってくるでしょう。
ー シンプルに伝えて頂いて、とても分かりやすいです!
0→1のフェーズ(創業期)は、それが全て通用しないというか、ロジカルに進まない部分が多々あるので、僕は「アート」と表現しましたが、やはりフェーズと求められる能力、立場・役割は変わってくると改めて思います。
当然、0−1以外をつくってくれた人達が存在して今の組織があるので、創業者だけでなく、関わってきてくれた人全てに感謝をしながら経営をするのが、これからのLIGを10→11、10→Xにしていく、現在の僕の立場だとも思っています。
今後について
ー 中長期的な展開について、お教え下さい。
LIGは、外資ITコンサルや大手システム会社を目指しているワケではなく、これまでのデザイン力や企画力を持った独自の会社にしていきたいと考えています。その中で、よりグローバルな展開を視野に入れた社会からの信用や、前任の吉原ゴウや私など、特定個人にたよる会社ではなく、未来永続的な会社になっていくという意味でも、「上場」を目指すことは会社としても最適な手段と捉え、それを目指した動きをしています。
ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などもあれば最後に書きます
欲張りですが、ナンバーワンにもなりたいし、オンリーワンな会社にもしていきたいです。
前任の吉原がつくってきた文化も大事にしつつ、LIGはこれからも進化を続けていきます。現在、採用も強化しており、今後は新しいテクノロジーを取り入れた新規事業なども始めていく予定です。フリーランスの方には、個人では受けられない様な大きな仕事が出来るチャンスがありますし、外資コンサルファーム出身のメンバーも次々とジョインしてくれている様な状況です。多方面での採用を強化しておりますので、興味のある方は是非ご連絡下さい!ベンチャーにいく=給与が下がる、みたいなイメージがありますが、稼げる人材にはガッツリ払う方針でもあるので、そんなタイミングに興味のある人材を10名でも20名でも採用したいと考えています。
ー 勢いと熱量が伝わる採用メッセージですね。これからの御社動向にも益々注目です!本日は、有難うございました。
こちらこそ、ありがとうございます。