車を買う際のマイカーローンでの利用や生活資金の借り入れなど、まとまった資金が必要な際の融資を銀行からの直接オファーによって実現させる、個人融資 x 銀行ローンDXプラットフォーム「クラウドローン」。「銀行から借りられることを知らなかった」「手続きが面倒くさそう」などといった多くの人が抱えてきた個人融資の課題を解決し、リリースから1年半で約15,000名の方に利用されるサービスとなった。ありそうでなかった注目の金融スタートアップ!今回は、同社代表取締役の村田氏にお話を伺いました。
プロフィール(クラウドローン株式会社 代表取締役 村田大輔氏)
1980年神戸市生まれ。電力系通信企業のCSマネジメント業に従事。、住信SBIネット銀行に転職しリスク管理・不正口座管理、業務設計、対応マネジメントを行う。
2015年2月株式会社ステイト・オブ・マインドを創業し、縫製のマッチングプラットフォーム「nutte」をCOOとして、業務全体のオペレーションを構築ユーザー0から、2万人を超えるサービスへと成長させる事に成功。
2017年6月 「ietty」ビジネスソリューション本部に参画し、3つ目の拠点として立ち上げたつくばセンター長に就任。30人規模のマネジメントを行う。
2018年7月 株式会社UPWARDS設立 (のちクラウドローン株式会社に商号変更)
2019年1月 貸金業主任者資格取得
2020年1月 個人向け融資プラットフォーム「クラウドローン」リリース
クラウドローン株式会社について
ー 事業内容について、教えて下さい。
個人融資 x 銀行ローンDXプラットフォーム「クラウドローン」の企画・開発をしています。
ー 「クラウドローン」とは、どんなサービスなのでしょうか?
クラウドローンは、融資を受けたいユーザーと融資を行う金融機関をマッチングさせるプラットフォームです。ユーザーの希望貸付条件に合った銀行ローンを、銀行側からユーザーに直接提案する仕組みにより、従来であれば、長い方で数日かかっていた内容が登録時に行う3分程度の診断に答えることで最適な銀行を探せることを可能にしました。
現在は車を買う際のマイカーローンでの利用や、生活資金の借り入れなどの用途で融資を受けることができ、2020年1月のリリース以降、1年半で約15,000名の方に利用を頂いております。
ー クラウドローンを介して、銀行から直接オファーを貰えるんですね!融資を受けるまでの流れについても教えて下さい。
はい。大きくは5つのステップで進んでいきます。
1.アカウント登録・診断
2.銀行審査・オファー
3.融資依頼先の決定(ユーザー)
4.最終審査
5.融資
まず始めに、サービスへのアカウント登録と一緒に希望融資の条件を登録します。登録内容と希望融資額を、銀行側の管理画面で閲覧出来る為、銀行はユーザーの希望条件を元に融資の可否を行い、オファーをする流れになっています。届いたオファーを元に、ユーザーがどこから借りるかを判断し、銀行側の最終審査を経て、融資が完了する流れになっており、アカウント登録から最短3~4営業日で入金までを実現しています。
経歴や希望条件を入力しておくと、企業からオファーレターが届く”人材スカウトサービスの融資版”と思って頂けると分かりやすいかと!
ー すごいスピード感ですね!クラウドローンは、比較サイトやアフィリエイトとはまた違うのでしょうか?
従来の比較サイトですと、例えば「生活費で30万円借りたい」という希望を出した時にサイトによっては100種類ほど提案を受けるものもあり、【何を基準に申し込めばいいか?】が分かりづらい状況にあります。それに加えて、ユーザーの年収・住んでるエリア・借りたい金額・ユーザーの与信、それぞれが違う条件の中では、本来(融資の)提案は出し分けられて当然なんです。その人に合った、今使える条件のローンはココ!と具体的に見れることが、クラウドローンが実現したこれまでに無かった世界観です。
ー オファーを貰える銀行は、自分が住んでいるエリアの銀行なのでしょうか?
基本的にはそのパターンが多いですが、銀行の中でも全国に対応している銀行もある為、融資内容によって多少変化します。
「Fintech全盛期に大手が参入せず、スタートアップには敷居が高かった」絶妙なポジショニングに位置したクラウドローン
ー 中古車を買う際のローンといえばディーラーで直接ローンを組むことが多いイメージですが、そもそもなぜディーラーからの中古車金利は高いのでしょうか?
一般的に中古車ディーラーからのローン金利は約8~9%となっており、それに対して銀行からのマイカーローンの金利は約2%と大きな差があります。実はその高い金利には、ディーラーに入る手数料なども含まれるといった理由から(ディーラーからの)ローン金利が高くなっているのです。
ー なるほど。では中古車を買う際は、銀行のローンを利用した方がお得なんですね!でも、車を買うのにも銀行融資が受けられることを恥ずかしながら知りませんでした。。
仰られる様に「車を買うときに銀行からお金を借りられる」ことを知らない方が圧倒的に多いんです。特に20代-30代の方はその傾向が顕著で、友人同士であまりお金の話をしないということに加えて、車を買う流れでディーラーに任せた方が楽なこともり、特に考えずにローンを組んでいる方が大半なのが実態です。購入時、親切に対応してくださるディーラーさんに「めんどくさい手続きは、こちらでやるんで」なんて言われたら、『じゃあ、お願いします』と流れでなりがちですよね。
ー その流れは目に浮かびますね(笑)これまでに”ありそうでなかった”サービスですが、こういったサービスがこれまでなかった理由には、どんな背景があるのでしょうか?
私は2018年にクラウドローンを起業をしているのですが、当時Fintech領域のサービス自体は盛んだったもののローンの領域は目立ったスタートアップもなく「何故生まれなかったのか?」については正直、不思議に思っています。ただ、出来ない理由を挙げるとすれば幾つかの要因はあって、大きくは3点考えられます。
1.規制の観点
→貸金業法における”媒介”に当たるか?当たらないか?が論点となり、当たる場合はサービスの実現が不可能となります。
2.免許取得に関するハードルが高い
→貸金業の免許を取得しようとする場合、純資産5,000万円が必要になるなどスタートアップにしては敷居が高いです。
3.大手企業の場合、銀行業に注力したい
→大手IT企業が銀行業に参入したニュースは記憶に新しいかと思いますが、銀行業をする場合、自社に注力したいが故に、我々の様なプラットフォーマーな立ち位置を取ることが難しいです。
ー なるほど!当時の流れ的に大手は参入せず、スタートアップであれば始める敷居が高い、といったポジショニングだったんですね。
はい。今考えると丁度いいポジションに位置していたのかと思います。
「誰もやっていなくて、こんなものがあったら便利」の軸で見つけた事業の構想とは?
ー 起業することの意識についてはいつ頃からお持ちだったのでしょうか?
私自身、起業するのは今回で二度目となっており、一度目は縫製のマッチングプラットフォーム「nutte(ヌッテ)」という会社を共同創業したのが最初の起業でした。起業をしてから、沢山の起業家同志の繋がりや情報も集まる環境に変化したこともあり、事業を大きくする過程に携わりながらも「いずれは自分でもtoCの領域で、もう一度チャレンジしたい」と考える様になりました。当時はまだ、事業領域も定まっていなかったですが、【誰もやっていなくて、こんなものがあったら便利】と思える領域を見つけていきたいと思っていました。
ー なるほど。そこから「クラウドローン」は、どの様にして生まれたサービスなのでしょう?
共同創業したnutteを卒業した後に、不動産業界を理解する為、「ietty(イエッティ)」というオンライン接客による不動産サービスの会社に転職しました。そこで会社の仕組み自体をBPO(※)し、他の業界に転用したコンサルティングをしていました。その内の一社で消費者金融の会社を担当していた時に、やたらとこの領域だけアクセス数が高く、発話の数が多かったんです。そのほとんどが「こんな私でも使えますか?」といったネガティブな意見が多く、それまで自分の知らない領域にこんなに悩んでいる人が存在している、ことを知ったのが最初のきっかけでした。
「この人たちに、もっと違った解決手段が用意することが出来ないか?」と考え、クラウドローンの構想は生まれました。
※Business Process Outsourcingの略
今後について
ー 中長期的な展開について、お教え下さい。
8月には新バージョンのリリースを控えており、新バージョンではマッチング後の成約率を向上させる為に、銀行保証会社との連携による審査精度を高め、登録ユーザーがほぼ間違いなくお金を借りられる様なUXを提供します。今回の提携によって、翌営業日には融資の可否を判断できるスピード感になる予定です。リニューアルによって「(お金を)借りる」という体験により円滑にした後は、銀行との手続きにより発生するフリクション(摩擦)を解消する様なユーザー体験の向上を3年以内に目指しています。
さらに、住宅ローンの様な購入前に融資額を確保できる状態を車の購入や住宅リフォームの領域でも展開していきたいと考えており、販売者向けのAPI開発や各種サービス提供を行う体制を整えていきたいと思っています。
最終的に目指したい世界観としては、保険のことであれば「保険の窓口」といったような想起を、融資・お金を借りる分野で想起されるサービスを目指し、【ローン選びのニューノーマル】になっていきたいですね!
ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えて下さい。
現在、弊社では提携できる事業者様の拡大をしております。
直近では、自動車販売事業者様との提携を発表させて頂きましたが、今後はリフォームや医療(デンタルや不妊治療など)・教育系といった会社とも提携を増やしていき、何かしらの融資を検討しているユーザーに対して、リスクの小さなローンを提供できる仕組みを構築していきたいと考えておりますので、ご一緒できそうな会社様がいれば、是非ご連絡ください。
(問合せフォーム)https://corp.crowdloan.jp/#contact
ー お金が必要になる機会の数だけ、提携先がありそうですね!今後の展開も楽しみです。今日はありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございます。