日本初!リアル店舗における香水体験をインターネットの世界で実現した香水提案サービス「Celesセレクト」。香りの資格を持ったプロのスタイリストが、ユーザーの思考にあった5つの香水をセレクトしてくれるサービスが、ひそかな人気となっている。しかし、国内の香水市場をみれば、【市場規模は400億円・日本人の70%は香水をつけない】など市場としては明るくない情報も沢山ある。そんなニッチな市場をスタートアップとして、どう見ているのか?起業家 ソールズベリー夏生(かい)氏にお話を伺った。
プロフィール(合同会社セレス 代表取締役 ソールズベリー夏生氏)
1991年東京都生まれ。日英ハーフ。幼少期にイギリスへ渡り、青春時代をイギリスで過ごす。オックスフォード大学院卒業後日本へ戻り、2016年に電力会社へ入社。10代より起業に関心を抱いていたこともあり、日本の香水市場の潜在的ニーズに気付いたことをきっかけに、2018年に合同会社セレスを設立。ウェブサイト制作・商材の仕入れなど自ら行い、最高経営責任者として香水の総合的販売サイト「Celes(セレス)」を運営。「無料で試せる」「相談できる」「買える」の3つのステップをオンライン上で叶えることで、香水との新たな出会いを提供している。
合同会社セレスについて
ー 事業内容について、教えて下さい。
セレスは、IT × フレグランスを軸に、香水に特化した3つのサービスを展開しています。
・日本初のネット香水提案サービス「Celesセレクト」
・6つの香りのタイプの中から欲しい香水を選んで、ランダムで香水が届く「Celesガチャ」
・500種類以上の香水の中から、好きな香水と容量を選べる「Myセレクト」
ー 今回は、日本初のネット香水提案サービス「Celesセレクト」について話を伺っていきたいのですが、こちらはどんなサービスなのでしょうか?
日本フレグランス協会から資格認定されたプロのフレグランススタイリストが、500種類以上の香水の中から、ユーザーに合った香水をサンプルサイズで5種類お届けするサービスになっています。サービスの特徴としては、大きく3つあります。
1.プロのフレグランススタイリストがユーザーに合った香水を提案
2.豊富なユーザーデータ
3.ストックは約500種類!世界中の香水からユーザーの好みにあった香りをセレクト
まず、一つ目の「プロのフレグランススタイリストがユーザーに合った香水を提案」ですが、香水のセレクトは資格を持つ認定フレグランススタイリストのみが対応しています。これによって、システムマッチングでは実現出来ない、ユーザーの細かな要望にまで対応したセレクトを可能にしています。セレクトした香水が気に入らなかった場合は、返金対応もしており、それくらいサービスとして自信を持っている部分でもあります。
そして、これまでカウンセリングしてきた「豊富なユーザーデータ」が既にサービスには蓄積されており、サービスの満足度の肝となる、好みの香りのマッチングの精度を高めています。
最後は、ユーザーには「約500種類の香水」から香りを提案しますので、これまで見たこともなかった様なメーカーの香水や、嗅いだことのない変わった匂いなど。セレクトの中で、香水との新しい発見と驚きを提案出来る様にしています。例えば、世界の香水の中には、タバコを香料に入れた香水などもあり、そういった普段自分では選ばない香水や見つけられない香水を提案することも、ユーザーからは喜ばれています。
ー 約500種類も!在庫は、全て自社で抱えているのでしょうか?
弊社では、少量の量り売りで香水を買えるサービスも展開しており、ある程度の在庫は自社で抱えています。香水の場合は、商品自体のサイズが大きくないので在庫を抱える上での追加コストもかからず、運用が出来ています。
ー なるほど。これまでの香水のイメージは、実店舗で試して購入する印象が強かったですが、香水のEC化率は進んでいるのでしょうか?
個人の実感値にはなってしまいますが、ECで香水を購入される方は増えてきていると感じています。ただ、私たち以外の選択肢となると楽天やAmazonといった「ボトル買い」のサービスがほとんどですので、「少量から試せる」「複数の香りから選べる」といった、ECで(香水を)買う・買わないの間に位置するポジションで香水を楽しめるサービスは弊社のみになります。
ー 実際にどんな方がサービスを利用しているのでしょう?
当初の想定では、香水を使ったことがない方々の利用をメインに考えていましたが、実際ローンチしてみると、初期ユーザーの半数は、「既に香水を使っている」「香水が好き」という方々で、アーリーアダプター層の方を中心に、サービスを利用してくれました。後は、地方にいるお客さんからの需要もあり、実店舗に足を運べない方がサービスを活用してくれる事例も今では多く見受けられますね。
起業の意識は「国づくりゲーム」から!?
ー 起業をされた経緯についても伺いたいのですが、いつ頃から起業を意識していたのでしょうか?
12-13歳の頃、当時PCゲームが大好きで、その中でも「国づくりゲーム」にハマっていたんです。
タイトルを言うとすごくマニアックになるのでここでは割愛しますが、当時のゲームから、0から何かを作り上げることの楽しさを学びました。そこからですね、自分もいつかは一国一城の主になるという思考に変わっていったのは。
ー 「国づくりゲーム」がキッカケだったんですね!
はい。それ以外にもアイデアを考えることや、アイデアを形にすること自体は、とても好きだったので、起業に対する素養はあったのかもしれないですが、やっぱりゲームの影響は大きいですね。やるとハマってしまうので、現在は全くやっていませんが当時はかなりのオタクでした(笑)
ー そこから事業のドメインとして、香水を選んだ理由は何だったのでしょう?
実は、会社を立ち上げる際の事業アイデア自体は、香水以外にも幾つかありました。
香水のアイデアは、候補としては3-4番目くらいだったと思います。最終的に、そのアイデアからスタートさせようと思ったのは、【初期投資を抑えられる・小規模/小ロットから事業を開始出来る】という、スタートアップとしての“始めやすさ”が決め手となりました。
大手の手をつけない、ニッチ市場で勝負したい。
ー そこから「Celesセレクト」を思いついた経緯についても教えて下さい。
これは実際のデータでも出ていますが、日本人の約70%の方は香水をつけません。しかし、その内の35%は「自分に合う香水が分からない」という理由から香水をつけていないだけであって、これを見て、従来の香水の選び方や買い方自体に問題があるのではないか?と考えました。
その時に、「ネットの手軽さ × 実店舗の強み」をオンライン上で実現できたら、この35%に該当するユーザーも取り込んだ新しい香水の市場が出来るのではないかと思ったんです。
実際に、サービスのローンチ後は1ヶ月で1,000人以上の方がサービスを利用してくれるなど反応は上々でした。
※サンケイリビング新聞社:2007年9月「OLマーケットレポート」より
ー 国内の香水市場は約400億円と市場としては、そんなに大きくない分野ですが、ニッチな分野で勝負されることの懸念や不安などはあったでしょうか?
起業するタイミングでは、むしろニッチ市場で勝負したいと考えていました。
例えば、国内アパレルであれば9兆円を超える市場なので、大手の新規事業としてどちらを選ぶとなれば、当然市場の大きい方や伸び率の高い分野を選ぶのが普通かと思います。
しかし、私たちの様なスタートアップであれば、400億円ある市場の数%取れるだけでも会社的には御の字です。なので、市場の大きさについては、正直不安とかは全くなくて、むしろニッチな分野で良かったと思っています。
今後について
ー 中長期的な展開についてお教え下さい。
現在、セレスでやっている「香水を少量から試せる」こと自体は、正直誰でも出来ることだと思っています。これからは、セレスでしか出来ないことをサービスや機能として充実させたいと考えています。例えば、今よりもっと気軽に香水についてユーザーとコミュニケーションを取れる様にしたいです。最終的には、靴のECで有名なザッポスの香水版の様なポジションを狙っていきたいです。
先ほど市場についても少し話をしましたが、これから香水以外でも面白い分野があれば、もっとニッチな市場でもチャレンジしたいですね。
ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えて下さい。
セレスは、「香りのある毎日」からユーザーのライフスタイルを豊かにすることを理念として掲げています。初心者から上級者まで幅広く使えるサービスですので、まずは、気軽に(サービスを)使って貰えたら嬉しいです!先ほども言いましたが、日本人の約70%は香水を使いません。しかし、その内の35%は「自分に合う香水が分からない」という理由からです。セレスを通じて、あなたに合った香水を見つけて貰えたら嬉しいです。
ー 早速、編集部でもサービスを使ってみたいと思います!今日は有難うございました。
ありがとうございます。