「“メンヘラ”という言葉を社会から無くしたいんです」と発する言葉には、理想だけで言っているのでは無い、彼女の覚悟や本気度が伝わってくる。【メンヘラ × スタートアップ】、交わりそうに無かった二つのワードが悩める若者向けの共感型メディアとして産ぶ声を上げた。社会の生きづらさをエネルギーに変えて、“偏見のない社会”をつくる起業家 横山彩乃氏に話を伺いました。
プロフィール(株式会社DariaMe 代表取締役 横山彩乃氏)
バンタンデザイン研究所高等部ファッション学部卒業。
卒業後フリーライターを経験後、株式会社BrandingEngineerにて女性向けメディアの編集長を務める。2018年6月末に悩める若者向け共感型メディア「DariaMe」を立ち上げ、現在8月27日に株式会社DariaMeにてCEOに就任。イジメや精神疾患など、様々な障壁を乗り越えて、『メンヘラと呼ばれる若者を0人にする』社会の構築を目指す。
株式会社DariaMeについて
> 事業内容について教えて下さい。
悩める若者向け共感型メディア「DariaMe(ダリアミー)」の運営と、ユーザーの悩みを直接聞くオンライン・チャット相談サービスをしています。
> 「DariaMe(ダリアミー)」とは、どんなメディアなのでしょうか?
悩める若者向け共感型メディアとして、恋愛や友人関係、仕事や人生に悩んでいるユーザーに向けたコンテンツを発信しているメディアです。
> メディアも拝見しました。掲載されている記事やコンテンツが独特と言いますか・・ちょっと言語化するのが難しいんですが、10人の読者がいれば、きっと10人が違った捉え方をする様な印象を受けました。
実は、メンバー内でも、メディア自体を「こういうメディアです」とは敢えて言語化していないんです。
> 敢えて、言語化していない中、メンバー内では何を指針としているのでしょう?
私たちはメディアや事業を通じて『自傷行為をなくし、日本の精神疾患患者数を減らすこと。』というミッションを掲げています。その為には、【偏見のない社会、分かち合える社会、支えになる社会、言いやすい社会】をつくることが不可欠と考えていて、メディアDariaMeは、その中における「偏見のない社会」の実現に対して、それぞれが想いを持ってコンテンツを創り上げているメディアです。
何度も(メンバー内では)話し合ったのですが、『作っている私たちでも(メディアを)言語化出来ないからこそ、DariaMeには強さがある』という話に落ち着いているんです。
「偏見のない社会」の実現にあたっては、メンヘラと呼ばれる人たちが(自分は、無理に変わらなくてもいいんだ)と思えるものが社会には必要だと感じていて、DariaMeはそういった【行き場のない悩みを持った人の“共感”を武器にしたメディア】を運営している感じですね。
> なるほど、、でも今ちょっと言語化されましたね!
そうですね。今、初めて言語化出来ちゃいました(笑)
> 市場としては、メンタルヘルス市場になるのかと思いますが、敢えて「メンヘラ」というワードを選定して、打ち出していることに意図はあるのでしょうか?
メディアで解決する課題として、社会から ビジョンを持っていて、その為には「メンヘラ」という言葉を社会から無くしたいと本気で考えています。
それを実現する為に、まずは一般的にメンヘラと呼ばれている、精神疾患を抱えていたり、自傷行為をしてしまう人たちに認知をして貰う必要があります。その時に「メンタルヘルス事業をやってます」と言ったキレイな言葉で片付けてしまうのではなく、私たちが本当に救いたいユーザーとの圧倒的共感をつくる為に「メンヘラ」という親しみのある言葉を意図的に使っているんです。
市場としてはメンタルヘルスと定義されるのかもしれませんが、DariaMeが対象にしているのは、そこに入ってくる前のユーザーを想定しています。例えば、(クリニックに行くまでも無いんだけど、彼氏や友人関係で悩んでいる)といった、市場としては数値化されていないけれど、確実にメンタルヘルス市場に入ってくる潜在的なマーケットにいる人たちを対象にしています。
花言葉は、“感謝・可憐”、“裏切り・浮気”。「DariaMe」というサービス名に込めた想い
※横山さんのデスク脇には、ご両親から贈られたダリアの花が飾られている。
> 「DariaMe(ダリアミー)」というサービス名には、どんな意味が込められているのでしょう?
私の実家が花屋で、小さい頃からずっと花に囲まれた生活をしていたんですが、その中でも私が一番好きな花が「ダリア」だったんです。
> ダリアというのは、お花の名前なんですね!
そうです。その中でも暗めの品種の黒蝶(コクチョウ)が私の一番好きな花で、現在はサービスロゴや名刺などにも使っています。
中学生の時に、初めてダリアの花言葉について調べたんですが、ダリアには、“感謝”や“可憐”というポジティブな意味の花言葉と、“裏切り”や“移り気”というネガティブな意味の花言葉の二つがあるんです。私の人生を振り返れば、裏切られてイジメにあい、付き合う彼氏にはことごとく浮気をされる、それでも感謝して生きてきました。自分の人生経験とダリアが持つ花言葉に共通点を感じて、その時に『自分は、この言葉と共に人生を歩んでいこう』と決意したんです。
今では社名やサービス名にもそのまま使っていますが、ダリアが持つ言葉の二面性は、結構メンヘラにも通ずる部分はすごくあると思っているんです。例えば、裏切られた経験があって辛い人・浮気されて辛かった人、でもどこかで相手に感謝をしていたり、常にキレイでいたいと思う気持ちが可憐だったり、と。
> ああ、本当ですね。。
これに気がついた時、(あ、これ絶対メンヘラのこと言ってる!)と思って、そこから「DariaMe(ダリアミー)」という名前が生まれました。
> 一同:(笑)
「お前にはメンヘラ向けの方が向いてるよ!」と言われ、調べてみたら結構検索ボリュームがあったんです。
> サービスを思いついた経緯についても伺いたいのですが、「DariaMe」はどの様にして生まれたのでしょうか?
これもメンヘラっぽい話になっちゃうんですけど・・
当時付き合っていた彼氏が、私より先に起業をしていて、その大変そうな姿を横で見ていたので(起業は大変なんだな)って思っていたんですよね。
私は私で、当時は別のやりたいことがあって、クリエイター向けのメディアと、そのクリエイターを支援するクラウドファンディングをやろうと思っていたんですけど、考えている最中に似たようなサイトが先に立ち上がって、それを断念したんです。
そのタイミングで彼氏と大喧嘩をして、投げられた服と一緒に『お前にはクリエイター向けじゃなくて、メンヘラ向けの方が向いてるよ!』と言われて・・
> 一同:(笑)
その時は、すっごいムカついたんですけど。少し時間が経ってから、(でもメンヘラ向けって聞いたことないな・・)って思う様になり、そのままahrefsのキーワードエクスプローラを叩いたら結構な検索ボリュームがあって、「ココいけるかも!」って思ったんです。
その時には、女性向けメディアの立ち上げも経験していたし、何より自分自身もメンヘラだと自覚をしていたので(コレ、私がやったらハンパないな)と思って(笑)
> そんなキッカケだったんですね!(笑)
最初は、ただそれだけで始めました。ただ、スタートしてからは、そこでガツガツSEOを狙っていくのは(ちょっと違うな・・)とも思い始めたんです。
実際に世の中にいる、メンヘラが欲しいのは情報ではなくて、“共感”で。その彼女たちが欲しいと思っている“共感”を知っているのは、何より私自身だ!と気づき、そこから今の共感型メディアのカタチは生まれました。
そこから、メンヘラ向けのメディアとして外に出してみたら、一気にバズって、外部の人からも「起業」を勧められて、結果的に起業をしたといった経緯なんです。
「まだまだイライラさせて欲しい」生きづらさやアンチと向き合いながら、横山彩乃は前に進む。
> 少し話は逸れるのですが、横山さん自身も過去には、精神的に病んでしまったり、塞ぎ込んでいた時期を持っていたんですよね?
はい。高校を卒業してからの一年半は、ロクに家の外にも出れず、在宅でライターの仕事をしたり、単発でアルバイトをしたりしながら過ごしていました。
> 「起業する」ことを選択したことで、対外的な露出だったり、世間からの批評を浴びるという意味でもメンタル的に傷つきやすい環境に向くと思うのですが、何故そちらを選択したのでしょう?
メディアを始めた当初のTwitterは、本当にアンチの嵐で・・それを見ては、毎日の様に泣いたり、吐いたりしてたんです。泣きながら嘔吐するから、途中自分でも訳が分かんない状態になっていて・・(笑)
でも、それ以上に自分のやっていることに自信があったし、「自分の為にならないことを外から言ってくる人たちのヤジ(意見)はどうでもいい」と考える様になってからは、逆に、(ていうか、この人たち、めっちゃサービスのこと見てくれてるじゃん!)ってポジティブに捉える様になったんです(笑)
> アンチからの捉え方の角度や視点を変えたんですね。
そうですね!新しいことを始めたり、皆んなが知らないことを始めると、誰もが外からの批判を受けると思うんです。元々、私は他力本願なところがあるので、誰かがやってくれるのであれば、それでいいんです。
でも今回は、たまたまそれが自分だっただけであって、私は全メンヘラが幸せに生きていける社会をつくっていきたいと思っているので、他のメンヘラが傷つくなら、それを先に私が受ければいいって思って、今は外部からの批評と向き合っています。
> そういった社会の「生きづらさ」という、フラストレーションが逆に横山さんに「生きる意味」を与えてくれているのかな・・という印象も受けるのですが、それでもまだ生きづらさはありますか?
全然あります。
> そ、そうですか(笑)
ただ、その「生きづらさが」あるから頑張れているっていうのは事実として感じています。
起業をしてからも、人目につく様になって色々なことを言われています。
“若いから”とか、“女を使っている”とか、、そういうのは相変わらず死ぬ程ありますが、そういうのを言われる度に、自分の実力不足だからもっと頑張ろうって思ってます。
> それもまたエネルギーになっているんですかね?
そうですそうです!(ムカつくわー)と思うから、それをエネルギーに変えて仕事に向かえるんです。結果さえ出せば、“若いのに”ではなくて、「本当DariaMeすごいよね」って言い方をされると思うんです。でも今は、「若いのに、こんなメディアやっててすごいね」っていうのが、世間からの評価なので、結果が出せていない自分がすごく嫌で常にイライラしています。
このイライラが無くなったら人生終わりだと思って、今は向き合っています。逆に、今の私が抱えているイライラが無くなったら、社会としてあるべきカタチになったんだって思えている時なのかもしれません。
> 目指している「偏見のない社会」に近づいたっていうことですかね。
そうですね!なので、まだまだイライラさせて欲しいと思っています。
> 一同:(笑)
今後について
> 中長期的な展開についてお教え下さい。
先日、組織としての構想(※)を発表させて頂いたのですが、私たちは「メンヘラと呼ばれる若者を0人にする」ということを、【偏見のない社会・分かち合える社会・支えになる社会・言いやすい社会】の実現によって、その世界を構築しようとしています。
今やっている「DariaMe」は、その中の一つである「偏見のない社会」を実現する為の手段です。それと先日からスタートをしたオンライン相談で「言いやすい社会」の実現を目指しています。
直近では、メディアの拡大を通じた「メンヘラ」の社会認知を変えていくことに注力しますが、ある程度そこの認知が出来次第、残り2つの社会実現に向けたプロダクトを出す予定でいます。
※参照:悩める若者向け共感型メディア「DariaMe」が『メンヘラを0人にする』構想を公開。資金調達を実施し、コンセプトやデザインをリニューアル
> 最後に記事内でお伝えしたいPR事項などもあれば教えてください。
業務委託ですが、SEO担当・ライターなどメディアに関わる全方位で募集をかけています!メディアに興味を持って頂いた方がいれば、お気軽に声をかけて下さい。
> これからの展開が楽しみですね!今日は有難うございました。
ありがとうございます。