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台風に関する労務管理の論点まとめ

公開日:2018.08.09

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夏から秋にかけ日本列島にはしばしば台風が上陸します。
本稿では台風に関する労務管理について論点をまとめてみたいと思います。

台風で交通機関が乱れ、従業員が遅刻や欠勤した場合の勤怠処理

台風で電車が遅れたため、従業員が遅延証明書を持って遅れて出勤をしてくることがあると思います。

法律上の考え方としては、台風のような自然災害により就業ができなかった場合は、会社の責任ではないので、遅延証明書があったとしても通常の欠勤と同様、不就労分の賃金を控除することは問題ありません。

ただし、実務上の運用としては、従業員との信頼関係やモチベーションを踏まえ、軽微な遅刻であれば遅刻扱いにしないというのが社会通念ではないかと思います。

なお、半日や丸一日就労できなかった場合は、さすがに遅刻や欠勤が無かったということにするのは難しいので、従業員と相談の上、従業員が同意をすれば有給休暇の消化に充てることが多いのではないかという印象を受けます。

有給休暇を持っていない従業員や、有給休暇を使うことを拒んだ従業員については遅刻控除や欠勤控除をすることはやむを得ないと考えます。

前日から「有給奨励日」としておく

台風の場合は、前日におおよその進路は分かるわけですから、翌日台風が直撃する可能性が高いということが分かったら、会社から従業員に対して「明日は台風が来るので有給奨励日にしますから、可能な方は有給休暇を使って休んでください」というように、あらかじめ宣言をしてしまうというのも悪い対応ではありません。

会社が勝手に有給消化日と決めつけて従業員の有給休暇を消化するのは違法ですが、あくまでも「奨励」であれば問題ありません。

緊急連絡網を整備する

たとえば、「朝7時の段階で出社の要否をメーリングリストで一斉送信します」というように、台風などの災害発生時に従業員と連絡がとれる緊急連絡網を整備しておくことは必要であると考えます。

近年は個人情報管理が厳しく求められていますので、プライバシーへの配慮は必要ですが、有事の際には緊急連絡や安否確認ができる体制を整えておくことも企業としては必要なことです。

在宅勤務ができる体制を整える

近年はIT技術が発達し、在宅勤務制度を導入する企業も増えてきました。

在宅勤務制度はワークライフバランスのため福利厚生制度の一環として導入されることが多いですが、災害対応としても効果的です。

仕事に必要なデータをクラウド上に保存したり、クラウド上で閲覧できるメーラーソフトを利用したりすることで、多くの企業では在宅勤務が可能になるでしょう。会議もオンラインで行うことが可能です。

よほど重要な事情があれば別ですが、台風の日に危険を冒して出社したり、帰宅難民になったりすることを考えれば、台風の日だけでも在宅勤務ができることは、従業員にとっては非常に助かることではないかと思います。

水、非常食、寝袋等の備蓄

出社はしたものの、台風の影響で帰宅することが危険であったり、交通機関が麻痺して帰宅できなくなった従業員が会社に泊まることができるよう、水、非常食、毛布等を備蓄しておくことも従業員のためになるでしょう。

このような備蓄を持つことは、台風だけでなく、地震に対する備えとしても有用です。

まとめ

日本に住んでいる以上、台風や地震などの自然災害が発生することは不可避です。

だからこそ、「備えあれば憂いなし」という言葉があるよう、従業員が安心して働くことができる会社にするためには、会社は災害対策の労務管理を真剣に考えていかなければなりません。

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投稿者について
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榊裕葵

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念として、顧問先の支援に当たっている。

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