経営者のためのケーススタディの使い方|起業サプリジャーナル

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経営者のためのケーススタディの使い方

公開日:2018.02.14

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能力開発におけるケーススタディの活用

ケーススタディは経営、法律、医療などの幅広い分野で使われています。経営分野でのケーススタディの目的は能力開発です。

ケーススタディが能力開発で活用されているという認識は、MBA取得者がビジネス界で活躍していることによってつくられました。
MBA取得者は上場企業の企画部門や経営コンサルティング会社などで幅広く活躍しています。MBAとは正式にはMaster of Business Administrationのことで経営学修士と訳されます。MBAを取得する過程ではケーススタディが多用されています。

MBAを取得する過程でケーススタディを最初に使い始めたのは、アメリカのハーバード・ビジネス・スクールです。ハーバード・ビジネス・スクールが1920年代から使い始めたケーススタディは、今ではMBA育成の必須プログラムになっており、欧米のビジネススクールに加えて、日本の大学院などでも幅広く使われています。
MBAを育成する過程において、ケーススタディで企業経営における成功事例と失敗事例の両方が取り上げられます。成功事例からは成功のプロセスと要因を、失敗事例からは教訓と失敗回避のための方策を学ぶことによって、MBAに相応しい能力を身につけることができます。

 

人材選抜におけるケーススタディの活用

ケーススタディは、能力開発に加えて、管理職などの適性を持つ人材を選抜するための手法としても活用されています。
管理職や職場のリーダーとして適切な人材を登用するためには、候補者の判断能力を見極めることが必要であり、1人1人の判断能力を見極めるためにケーススタディが使われています。

人材選抜のために使われているケーススタディは、案件を処理するという側面が強いためにインバスケット技法と呼ばれています。
インバスケットとは未処理箱のことです。インバスケット技法は、アメリカ空軍の教育機関が訓練結果を測定するために1950年代に開発しました。

インバスケット技法はケーススタディであるため、架空の役割、例えばコンビニエンスストアの店長とか、菓子メーカーの工場長などが設定されています。その役割を果たすために一定時間内に、複数の未処理案件を優先順位づけしながら、対処していくことが要求されます。
そして優先順位の付け方と案件対処の方法に基づいて、1人1人の判断能力を見極めていきます。現在、ケーススタディの一種であるインバスケット技法は人材選抜の手法として、上場企業などで幅広く活用されています。

また、国家資格の中小企業診断士の2次試験でもケーススタディが使われています。2次試験には筆記と口述がありますが、難関の筆記試験では4つの事例が出題されて、1つの事例について80分間で解答します。解答内容の妥当性によって合否が決まります。

 

企業変革での実践的な使い方

多くの経営者は能力開発と人材選抜よりも、環境変化に的確に対応できるように自社を変革することを重視しています。自社を変革していく過程でも、ケーススタディ(事例研究)を活用することができます。

ハーバード・ビジネス・スクールのコッター名誉教授は、企業変革には8つのステップが必要と主張しています。
最初のステップは緊急課題の認識を徹底することです。2つ目が強力な推進チームの結成、3つ目がビジョンの策定、以下4つ目以降、ビジョンの伝達、ビジョン達成の支援、短期的成果を上げるための計画立案、改善成果の定着とさらなる変革の実現、新しいアプローチの定着と続きます。コッター名誉教授は企業変革の8つのステップを、現パナソニックの研究を通じて開発したと言われています。

ケーススタディ(事例研究)を使う場面は、7つ目のステップの改善成果の定着とさらなる変革の実現です。このステップにおける改善成果とは、自社の成功事例に該当します。
成功事例を単発的な成果に終わらせることなく、後続の改善成功事例づくりに結びつけるために事例研究を活用します。成功事例のプロセスや重要要因を研究することによって、改善ノウハウのアプローチを導き出すことができます。
改善ノウハウを共有することで成果を定着させることができます。そして改善ノウハウのアプローチを横展開することが、さらなる変革の実現に結びつきます。経営者は自社の成功事例をつくり出した後に、事例を研究することによって自社の変革を主導することができます。

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