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好転するIPO環境と体制整備のポイント

公開日:2017.11.27

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活況を呈するIPO市場

IPO市場が好調です。過去IPOが最も多かったのは2006年の188社であり、直近の10年間で最も多かったのが一昨年の92社です。昨年も83社がIPOを実現しましたが、今年も昨年とほぼ同等のペースで推移しています。

今年のIPO実績は9月末までに55社、10月末時点で60社を超えています。今年のIPO企業の顔ぶれは、ITを活用して新たな市場の開拓を進める企業が多いことが特徴です。代表的なIPO企業に、ダイレクトメール発行代行のディーエムソリューションズ、アルバイトやパートに特化した採用サイトを構築するツナグ・ソリューションズ、旅行者ごとの要望に沿った商品を提案してネット販売する旅工房などがあります。

ディーエムソリューションズ、ツナグ・ソリューションズ、旅工房の3社はいずれも株価が公開価格(公募・売出価格)を上回っています。3社は公開後に株価が2倍以上に上がっています。
もっとも、投資家から注目されて株価が好調な企業は、この3社に限ったことではありません。9月末までにIPOを実現した55社では、約9割にあたる50社で初値が公開価格を上回りました。9月中旬に公開したウォンテッドリー(ビジネス交流サイト運営)は初値からの株価上昇率が5倍になりました。

 

IPOを後押しする環境の整備

多くのベンチャー企業がIPOの場として選ぶ東証マザーズに限らず、日本国内の株価は上昇傾向を示しています。日経平均は10月に21年ぶりに21,000円台を回復しました。
この株価上昇の原動力は海外投資家です。海外投資家は、北朝鮮情勢の緊迫や安倍政権の支持率低下の影響から一時、買い控えをしてましたが、10月に入り買い越し金額が6500億円を超えるなど、好調な株価を支えています。

株価以外にもIPOを後押しする環境が整いつつあります。新しい市場開拓を目指して、ガスや電力の大手企業とスタートアップ企業が連携する事例が注目を集めています。
例えば、東京ガスとオトバンク(東京)が7月からスマートフォンを活用した音声コンテンツを配信するサービスを開始しています。その内容は、風呂でヨガやストレスをする場合にのぼせないように、入浴時間に合わせて10分程度の音声番組を配信するサービスというものです。オトバンクは、20代の女性や60代のシニア層の開拓を加速するために、東京ガスの信用力と顧客基盤を活用しようとしています。
またオッタ(福岡)は東京電力ホールディングスと協力して、IoTで登下校中の子供を見守るサービスを9月から始めています。このような連携が目立ち始めた背景には、ガス会社や電力会社がエネルギー自由化に危機感を抱いていることがあります。

 

IPOのための協力体制づくり

IPOに向けた準備にあたっては、新しい市場の開拓に加えて協力体制を築くことが重要です。
具体的には監査法人と主幹事証券会社の選定が必要になります。このうち監査法人の選定に関する懸念が広がりつつあります。IPO難民と呼ばれる、引き受けてくれる監査法人をみつけることができないケースが発生しているのです。

IPO難民の背景には、公認会計士不足があります。公認会計士が弁護士と並ぶ人気職種であったことは、過去の話になりつつあります。
監査法人の現場は、作業量の多さから疲弊状態に陥っています。四大監査法人の中では最も積極的な組織文化を持っているあずさ監査法人が、今年8月に新しい顧客からの受注を1年間停止することを宣言しました。
また監査法人の実情に鑑み、企業の経理部やコンサルティング会社に転職する人数も増加中です。そのため約3万人いる公認会計士のうち、監査法人に所属している人数は半数を下回りました。

今後、IPOを目指す企業にとっては、主幹事証券会社の選定がより重要になってきます。証券会社は、監査法人と人的なネットワークを持っているため、主幹事を依頼する際に、監査法人選定への協力を要請できるためです。つまり自社を担当する監査法人を推薦できる、さらに監査法人との契約を支援できる証券会社に、主幹事を依頼することが考えられます。
IPOを目指すベンチャー企業の経営者には、新しい市場を開拓するための連携先、公開準備における協力先との関係づくりを行うことが期待されます。

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