「企業の強みとは一体なんなのか?」
2008年の国税庁の統計によれば、現代社会において新しく事業を始めた会社が廃業してしまう確率は96%というデータがあります。生き残る会社はたったの4%だということ。
生き残る会社と生き残れない会社の違いは「企業の強みがない」「企業の強みを活かしきれていない」ことが原因なのです。
企業の強みとは?
企業の強みとは簡単に言えば、「ライバル他社とのギャップ」のことです。世の中いろんな商売がありますが、どんな商売でもギャップを売り買いしているにすぎません。
例えば、農家が野菜を売るのは「一般人には野菜が作れない」というギャップがあるからです。プログラマーを派遣する会社は「プログラマーが足りていない会社」とギャップがあるのです。
つまり、「需要のあるギャップをいかに作っていくか」を考えることが、企業を安定させることに繋がります。他社にはない武器がある状態、それが企業の強みです。
企業の強みが得られない理由
では、なぜ企業は強みを作れないまま潰れてしまうのか。それは、日本の教育では「強みを育てる」こと以上に「弱点を克服する」ことに重きを置いているからです。
型にはめる教育は、並列でギャップを作らない教育になります。人に合わせて「強みを育てる」教育をもっと取り入れることが成功の秘訣となります。
まずは、似たようなライバル会社がいないかチェックしてみましょう。
例えば、プログラマーを派遣する会社を経営していて、似たようなライバル会社がたくさんいるとします。技術力が横一線なのであれば、「データベースに強い会社」に育て上げることでギャップが出来上がります。
あなたはデータベースまわりのプログラムを組んでもらいたいとき「データベースに強い会社」から雇うか「広く浅くプログラムが組める会社」から雇うか。同じプログラマーでもデータベースに詳しい会社から人を雇いたくなるでしょう。
強みを持つとは、型にハマることではなく、同率の型から一歩抜きん出ることなのです。逆に強みがなければ「安売り」で勝負する世界となり、企業は苦しくなります。
企業の弱みは残して良いのか?
「強みを育てる」ことが大事なのであれば、逆に「弱点を克服する」ことは重要ではないのか?そう問われると、当然「弱点を克服する」ことも大事ではあります。
しかし、土俵を選ぶことでその弱点は弱点となりえない可能性もあります。
例えば、「いきなりステーキ」というハンバーグチェーン店があります。その名のとおりステーキ専門店なのですが、この店には大きな弱点があります。それは「メニューが圧倒的に少ない」ことと「立ち食いであること」。
弱みを抱えているにも関わらず、今では100を超えるチェーン店となっているのです。
もちろん、この弱みを抱えているのは逆にメリットがあるからでもあります。これは「仕入れコストを下げてステーキを客に安く提供する」「人件費を下げる」「回転率を上げる」という強みを手に入れるための戦略。
「メニューが圧倒的に少ない」「立ち食いであること」は弱点ではありますが、いきなりステーキが戦っている土俵では大きな弱点にはなりえません。それは「大勢で食べたい人」という土俵ではなく「おいしいハンバーグを食べたい人」という土俵で戦っているからなのです。
大勢で食べたいものがそれぞれにあって、ゆっくり喋りたいご家族ならファミレスに行くでしょう。そんな人たちがいきなりステーキで食事をすれば、食べたいメニューがなく長居もできません。
逆に、昼食に美味しいハンバーグを食べてさっさと会社に戻りたいサラリーマンにとっては、メニューはステーキだけで良いし立ち食いも気にならない…加えてコストパフォーマンスが良いことが大きなメリットとなります。
「おいしいハンバーグを食べたい人」を狙っているのであれば、コストパフォーマンスが良いことはこれ以上にない強みとなり、弱みを握ったままでも勝負ができるのです。
ただし、土俵は「需要のある土俵」を選ぶ必要があります。「おいしいハンバーグを食べたい人」がいなくなれば、いきなりステーキは勝負できなくなってしまいます。
まとめ
企業の強みを作るなら、ライバル他者とのギャップを作る。
企業の弱みが目立たない土俵で勝負する。
需要のある土俵で勝負する。
もちろん、「弱点を克服」する必要も出てくることはありますが、そればかりにとらわれていると強みを持てずギャップを作れなくなります。強みを生かして弱みを殺せる土俵を選ぶことを意識すれば、利益を生む企業となるのではないでしょうか。
また、その土俵が本当に需要があるかどうかは、事前に調査しておかなければ痛い目にあうかもしれないので注意しましょう。