みなさんこんにちは。社会保険労務士法人日本人事で代表を務めている山本喜一と申します。
会社にとって、お金はとても大切です。黒字であってもお金が無くなってしまうと倒産ということにもなります。お金は会社の血液と言えるものですので、必要なときに必要な量あることが重要です。
会社にお金を入れる方法には様々ありますが、一般的には、まず融資(借り入れ)が思い浮かぶと思います。融資には、審査がありますが、借りやすいタイミングというものがあります。そのうちの1つがスタートアップ(創業時)です。もちろん無借金経営というポリシーで経営をすることも1つの方法です。それは経営者の価値観やリスクの取り方次第ですので正解はありません。融資を受けるとなると事業計画書を提出したり、様々な書面を用意したりと手間はありますが、今後のために経験としても1度融資を受けておくことも1つの方法だと思います。
助成金や補助金について
助成金や補助金には様々な種類があり、ざっくりと経済産業省関係のものと厚生労働省関係のものに分けると、一般的に経済産業省関係のものは、研究開発などにお金が出て、場合によっては何千万など、大きな金額のものも多いです。基本的に書類を提出してもその中から選ばれる方式です。使った金額の1/2、1/3が補助されるというようなものが多いです。
助成金とは
厚生労働省関係のものは、安定した雇用を生み出したり、従業員のエンプロイアビリティ(雇用される能力)の向上のための教育をしたりすると助成金が出ます。金額は50万円から100万円程度のものが多いです。こちらは予算が残っていて、要件を満たしていればもらえる方式です。厚生労働省関係の助成金の手続きは、自社で申請をすることはもちろん可能ですが、アウトソースをする際には、社会保険労務士しかできないことになっています。
さて、いよいよおすすめの助成金です。
今は、ずばり「キャリアアップ助成金 正社員化コース」です。
もらえる金額は、有期雇用労働者を正社員にすると、1人当たり60万円(プラス東京都の場合は追加で50万円)です。東京都では独自にこの助成金について追加で助成金を出しています。つまり東京都に事業所がある場合、1人当たり110万円もらえることになります。60万円でも大きいですが、更にもらえるのはすごいですよね。最大15人までもらえます。
有期雇用労働者として6か月以上雇用をして、正社員に転換し、正社員として6か月以上雇用した場合に、申請ができるようになります。雇用をしてから助成金をもらえるまでは1年以上かかることになりますし、その方が辞めてしまったりするともらえなくなるので、「資金繰りのあてにはしないでください」とお話はしています。
手続としては、正社員化の前に「計画書」を提出する必要があります。
また受給申請時のポイントは、労働契約書(有期雇用時、正規雇用時)、出勤簿(タイムカード等)、賃金台帳などが揃っているか、最低賃金を守っているか、残業代を支払っているかなどが見られます。
もし残業代込の給与設計をしているのであれば、それが労働契約書で問題のない書き方になっているかを確認することが重要です。
助成金は“わざわざ”とろうとすると、経営判断を間違えてしまう可能性もあります。しかし、事業計画に沿った形で助成金を狙えるのであれば、積極的にとりにいくとよいと思います。
せっかくなのでもらえるものはもらって、それを使って労働環境を整えて、よりよい会社をつくりましょう。