こんにちは。行政書士の宗岡司です。
初回は、株式会社の設立までの流れについてご説明いたします。
会社法が改正され、資本金1円で株式会社が設立できるようになってから10年が経過しました。
従来、株式会社を設立するには、1,000万円の資本金が必要だったので、非常にハードルが高かったのですが、今は資本金が1円で設立できるようになったため、独立して会社の設立をしようと考えている方も少なくはありません。
会社の設立をしようと思っても何をして良いか分からない、手続きの流れが分からないという方も多いと思いますので、株式会社の設立までの流れについて、オーソドックスな株式会社の設立を例に勉強していきましょう。
自分が会社の設立をする『発起人』となったつもりでお読みください。
株式会社ができるまでには、4つのステップがあります。
①定款の作成
②定款の認証
③出資金の払い込み
④登記の申請
それでは、1つ1つひも解いていきましょう。
①定款の作成
定款は「会社の憲法」と言われるとおり、会社の組織について記載します。
意外と決めることがたくさんあり、後から変更すると費用が掛かるものもあるので、じっくりと考えて決めましょう。
【主な記載事項】
商号(会社名)・目的・本店所在地・発行可能株式総数・取締役の員数や任期・事業年度・設立時の資本金など。
②定款の認証
定款の作成が終わったら、次は公証役場というところで、定款の認証を行います。
公証役場はほとんどが予約制なので、電話などで事前予約をしてから行きましょう。
公証役場によっては、事前に定款内容の校正や確認をしてくれますので、分からないことがあれば相談をしてみるというのも1つです。
③出資金の払い込み
定款で記載をした、設立時の資本金の払い込みを行います。
発起人の名義の口座に振り込み手続きを行うことで出資がされたものとされます。
④登記申請
本店所在地を管轄する法務局に対して登記の申請を行います。
大きな不備がなければ、受付から1週間程度で登記が完了し、設立した会社の商業謄本を取得できるようになります。
それぞれの法務局によって、登記完了までの日数が異なりますので「登記完了予定日」で検索をして調べておくことをお勧めします。
⑤その他の準備をするもの
会社の設立をする際には①から④の申請の前に用意をしなければならないものがあります。
・代表印(実印)や銀行印
「株式会社○○代表取締役の印」と入っている印鑑です。
通常は実印と呼ばれる法務局に登録する印鑑と銀行印と呼ばれる口座の作成や金融機関等に書類を提出する際に押す印鑑の2つは最低でも必要になります。
商号(会社名)が決まるまで作ることができず、作成には1週間以上掛かってしまうものなので、要注意です。
・印鑑登録証明書
公証役場で定款の認証をする際に、発起人全員の印鑑登録証明書
法務局で登記申請をする際は、取締役全員の印鑑登録証明書
発起人と取締役を兼ねる場合であってもそれぞれ1通ずつ必要になります。
最後に
登記が完了すれば、法人名義の銀行口座の開設や税務署などへの届出を行います。
近年では、金融機関によっては、銀行口座を開設する際に税務署への届出の控えを求められることがありますので、口座開設を考えている銀行に対して、予め必要書類を確認しておきましょう。
また、発起人や取締役の印鑑登録証明書が必要になりますので、印鑑登録をしていない方がいる場合は、予め住民票の住所の市区町村役場で印鑑登録をしておきましょう。
それでは続きは後半で。
次回は株式会社設立までの費用についてお話します。