これぞ現代版のデジタル質屋。所有するモノの”価値”をお金に換えるサービス「CASHARi(カシャリ)」ガレージバンク株式会社 山本義仁【起業インタビュー176回目】|起業サプリジャーナル

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これぞ現代版のデジタル質屋。所有するモノの”価値”をお金に換えるサービス「CASHARi(カシャリ)」ガレージバンク株式会社 山本義仁【起業インタビュー176回目】

公開日:2021.12.02

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従来は、車や不動産といった高額資産に対し用いられていたセールアンドリースバックという仕組みをコンシューマー向けに展開し、個人が持つ与信に頼らない新しい資金提供手段を提示する「CASHARi / カシャリ」。戦後をピークに右肩下りに減少をたどる質屋ビジネスを、デジタル技術を活用し、現代版にアップデートしたそのビジネスモデルはいかにして生まれたのか?起業家 山本氏にお話を伺いました。

 

 プロフィール(ガレージバンク株式会社 Co-Founder / CEO 山本義仁氏)

1988年福岡生まれ。2011年慶應義塾大学総合政策学部卒業後、2011年株式会社三井住友銀行入行。法人営業を経て、人事にて人材評価・処遇管理システムの企画・開発を担当。2019年株式会社助太刀入社。個人事業主向けファクタリング事業やプリペイドカード事業、保険事業の事業開発・運営に携わる。2020年ガレージバンク株式会社を共同創業。

 

 ガレージバンク株式会社について

ー 事業内容について、教えて下さい。

「モノの価値を、みんなの力に。」をミッションに、C向けセールアンドリースバックサービス「CASHARi / カシャリ」の開発・運営をしています。

 

「CASHARi(以下、カシャリ)」とは、どんなサービスなのでしょうか?

カシャリは、ユーザーが持つ少額動産資産を対象とし、アプリで簡単に審査〜資金化までを提供するサービスです。ユーザーは、簡単なアプリ操作だけで、ファッションアイテムやデジタルガジェットなどのアイテム価値を確認し、そのまま資金化することができます。【アイテムの即時売買・アイテムの価値を用いたファイナンス】といった、これまで質屋が提供していた機能をアプリで提供しているサービスです。

 

仕組み自体は、元々【セールスアンドリースバック】という、不動産などの高額資産に使われていた取引なのですが、それを個人の少額動産資産向けに転用したのがカシャリの事業モデルです。

 

ー ユーザーがお金を受け取ってからの流れは、どの様になるのでしょうか?

まず、契約時に「買取代金」として弊社から資金をお渡しします。そして、3ヶ月間は利用料をお支払いいただきます。その後、期間満了時のタイミングで、買い戻しを希望するユーザーはアイテムを買い戻すことができます。もしアイテムが不要となった場合は、いつでも弊社にアイテムを送付頂ければ、以後の支払いは一切不要になる仕組みです。

 

ー え!ということは、出品アイテムを使い続けながらお金が受け取れるシステムということでしょうか?

買取代金を受けとりながらもユーザーは継続して使えるって、ちょっと不思議ですよね(笑)

身近で分かりやすいモノで例えると、「家」を想像して頂くといいかもしれません。自宅を売却して、賃貸でそのまま住むことと構造は全く一緒です。最近本社ビルを売却しつつ、入居や利用を継続される企業の事例をニュースで目にしますが、あれが正に「セールスアンドリースバック」という取引になります。

 

ー ああ、なるほど!ニュースの内容含め、少し理解が出来ました(笑)現在は、どんなユーザーが使っているのでしょうか?

ユーザーの8割は、20-30代の方となっており、40代以上の方が利用している質屋とは真逆の年齢構成になっています。ネットリテラシーの有無や、出品されるアイテムが圧倒的にデジタルガジェットによっていることも一つの要因になっていると思います。(サービスの)利用ニーズは、その方の状況によっても変わりますが、個人事業主の方の事業資金の確保や生活資金の一時補填、不用品の売却が主なニーズとなっています。

 

 「ノウハウ」と「リスク」をテクノロジーで解決。CASHARiの裏側に迫る

サービスの特徴についても、改めて教えて下さい。

大きくは、2つ特徴がございます。

 

1.アイテムの真贋・状態判定を画像のみで自動化

元々質屋を営んでいた共同創業者の磯田はこれまで8万点以上の査定を行なっており、その査定ノウハウをアプリに詰め込んでいます。実際、数枚の画像を送って頂くだけでブランド品の真贋を確認したり、スマホの画面割れの状態なども判断しています。

 

2.不正利用対策

アプリに写真を送るだけで査定〜資金化までが出来るということは、それに伴う不正利用リスクとの戦いでもあります。よくある例としては、家電量販店の展示品を撮影して査定に出してくる等ですね。なので弊社では、【免許証に記載の住所】と【アイテムが撮影された住所】が同じにならないと利用出来ないという仕組みにしています。これまでさまざまな不正利用を試みる方と戦ってきましたので、不正利用に対してはかなり鍛えられました(笑)

 

ー 一同:(笑)

 

セールスアンドリースバックという仕組み自体が存在しながら、これまでカシャリの様なサービスが出来なかったことには、どんな理由があるのでしょうか?

まず、既存のリース会社では法人取引をメインにしており、個人を対象とした取引の実績があまりなく、あえてリスクのある個人取引に参入しようとするモチベーションは低いと思います。

そして、このビジネスにおいては【査定】というプロセスが重要です。画像認識による査定の自動化を取り入れるにしても、それを構築するノウハウは必須なので、こちらも参入障壁を上げる一つの要因になっていると感じます。

 

 旧態依然の斜陽産業 × デジタルで新しい価値を。サービスの設立経緯に迫る

起業することの意識は、いつ頃から持っていたのでしょう?

学生の頃から持っていました。ただ元々、学生時代はテクノロジー寄りな研究をしていたこともあり、新卒では将来会社をつくる時に役立つ、金融・会計の知識を身につける為に銀行に入社しています。

 

カシャリが出来た経緯についても教えて下さい。

共同創業者の磯田が質屋を営んでいたのですが、彼とは大学時代の友人という繋がりでもあります。

当時から質屋ビジネスっておもしろいよね、という話はしていて、それと同時に「仕組みとしては素晴らしいものなのに、なぜ今は使いたくないのか?」についても議論を続けていました。要因として考えられたのは、業界が持つダークなイメージや、実店舗にいかなければいけない手軽さの欠如があったので、それらをクリアに出来るオンライン化に着手したらどうか?というのがサービス構想のスタートになります。そして、それを実現するには銀行員時代に提案していたセールスアンドリースバックの仕組みがハマることに気づき、正に“点”と“点”がつながった瞬間でした。

 

そこから、どう起業に向けて動いたのでしょうか?

そこからラフデザインまで作ってはみたもののイマイチイメージが掴めず、実際に動くデモプロダクトをつくる他ないと感じ、「G’s Academy」というプログラミングスクールに通いながら自分でデモアプリを作りました。実際にアプリをリリースしてみて、これならいけると感じ、起業に至っています。

 

 今後について

ー 中長期的な展開について、お教え下さい。

大きくは、2つのミッションを実現したいと考えております。

 

1.サーキュラーエコノミーの実現

2.個人与信の補完・代替

 

まず、一つ目の「サーキュラーエコノミーの実現」ですが、リユース市場が伸びているのはデータからも分かっている反面、まだまだ自宅に眠っている動産資産は多いです。ある調査では、以前使っていたスマートフォンを売却もせず、自宅でただ保管している方は全体の8割にも及ぶそうです。オンライン査定をもっと身近で気軽にすることは、そういった方々に自宅で保有しているモノの価値に気づいてもらえる一つのきっかけを提供することが出来ると考えています。そして、その気づきからお金に変えるまでの一連の流れをシームレスにしていきたいです。

 

そして、もう一つの「個人与信の補完・代替」ですが、消費者向け貸付残高は減少傾向にありながら、賃金の前払いサービスや購入代金の後払いサービスなど、若年層の少額資金ニーズは顕在化しています。一方で、ワークスタイルやライフスタイルが多様化するなかで、これからは従来の個人の信用情報に頼らない、新たな資金提供手段が必要であると考えています。今後、それに置き換えられるのが、個人が持っているモノ資産、つまり動産資産価値の具現化であると考えており、元々は「質屋」という形態で行われていたモデルを現代社会にフィットさせ、新しい資金提供の仕組みを構築していきたいと思っています。

 

ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えて下さい。

現在はデジタルガジェットをはじめとした個人の少額資産がメインですが、今後は、

 

・車などの高額資産にも対応したサービスへと進化

・個人で保有しているモノとおかねのウォレットサービスの実現

 

まで機能を拡張し、サービスの提供価値を拡げていきます。是非、今後の弊社動向にも興味を持って頂けたら嬉しく思います。

 

ー 自分が持っているモノの資産価値が一見で分かるのは嬉しい機能ですね!今後のリリースも楽しみです。今日は有難うございました。

こちらこそ、ありがとうございます。

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