引用の落とし穴|起業サプリジャーナル

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引用の落とし穴

公開日:2018.04.16

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こんにちは。新橋虎ノ門法律事務所の弁護士の武山茂樹です。

ITが発達し、スマホがこれだけ普及している現在、誰もが気軽にブログを書くことができるようになりました。また起業家の方ですとオウンドメディアを立ち上げるなど、今やユーザーへのアプローチ手段の一つとして確立されたものだと思います。

そんななか、今回お話しする内容は引用についてです。引用について正しい理解を身に付けましょう。

 

1、他人のブログ記事を自分の記事に載せたいとき

例えば、自分のブログに他人のブログ記事や新聞・週刊誌等の記事を載せたいとき、どうすればよいのでしょうか。当然、他人のブログ記事、新聞、週刊誌には、その記事を書いた人の著作権があるわけです。そこで、他人の著作権を不当に侵害しないようにしなければなりません。

もちろん、その記事を書いた人の許諾があれば、適法になります。でも、いちいち許諾を取るのは面倒ですよね。

そこで、許諾を取らなくてもよい方法が、著作権法で認められています。「引用」と呼ばれるものです。著作権法の条文を見てみましょう。

著作権法第32条第1項

公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

はい、よくわかりませんよね。公正な慣行に合致し、正当な範囲内なら引用は許されるということです。具体的には、

①他人の書いた部分と自分の書いた部分が明瞭に区別できること
②自分の著作部分が主であること。
③引用元を明らかにすること。

この3つを守れば適法です。

①は、引用部分と自分の書いた部分を分ければいいだけです。どこからどこまで引用部分で、どこからどこまで自分の書いた部分かは明示しましょう。 ②がポイントです。あくまで、自分の書いた文がメインでなければなりません。 ③は、本なら書籍・出版社・著作者等を、ブログならURLを明示することが必要でしょう。

 

2、具体的な引用の方法

例えば、書籍を引用するときは、著者名、発行年度もしくは版(版が違うと内容が違います)、著作名、出版社名、頁数などを明記します。

武山茂樹(2018)「究極の著作権法」 〇〇出版 30頁から31頁

こんな感じです。

では、Web記事を引用する場合はどうでしょう。

これは、URLとその記事のタイトル、著作者、参照した日付を書くことが必要です(日付が異なると内容が異なる可能性があるため)

「著作権法改正要望事項に対する各府省の意見について」

www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/
gijiroku/013/04110401/002.htm

文部科学省 2018年1月26日参照

このような感じになります。

 

3、映画の引用

引用の話をすると、映画を1本アップして、それの批評を書いても引用なんでしょ?映画をアップしても適法だよね?という話をする方がいらっしゃいます。

例えば、ジュラシックパークの映画を丸ごとアップして、それに対する感想を3000字程度書いたとしましょう。これは、明らかに映画の部分の方が主となってしまいます。一般的に言って、映画や音楽や小説等を丸ごとアップしてそれの批評を書くと、そちらが主となってしまうので、違法になります。

一方、映画の一部分がその映画の批評にどうしても必要なので、映画のワンシーンのキャプチャ画像を、自分のブログに張り付けた場合はどうでしょう?

ケースバイケースですが、引用として適法とされる余地はあります。ただ、引用として適法か否かは、あくまで法解釈の問題です。裁判所が判断します。ご自身で判断できない場合は、弁護士に相談するか、許諾を取った方がよいでしょう。

なお、キャプチャ画像は自分で取らなければなりません。他人が撮影したキャプチャ画像は、それ自体写真の著作権が存在する可能性があるからです。

みなさんも、ブログを書くときは気を付けてくださいね。

 

4、小説の引用

一方、小説の一部分のフレーズを引用してそれをブログで批評する場合は、適法と判断される可能性が高いです(もちろん引用元の明示等は必要です)。

映画と違い、小説は長いので、その一部分だけを切り取ることは、真の意味で引用と判断される可能性が高いからです。

 

5、you tubeの埋込

先ほどのような映画の引用の話をしますと、「世の中には歌手の歌を歌ったミュージックビデオ」をブログに埋め込んでいる人がいるじゃないか、とよく言われます。

まず、①you tubeの権利と、②ミュージックビデオの権利に分けて考える必要があります。

①You tubeの権利ですが、you tubeは実は利用規約で、you tubeの提供する埋込機能を利用することを許諾しています。つまり、埋込機能でyou tubeの動画を埋め込んでいる限り、you tubeに対する権利侵害にはならないということです(アフェリエイト目的などの例外もありますので、気になる方はyoutubeの規約をご覧ください。)。

では、次に、②ミュージックビデオの権利です。ミュージックビデオには、作曲家、作詞家、撮影した人など多数の著作権が絡んでいます。

また、歌手の著作隣接権も当然あります。したがって、著作権者が同意してyou tubeにアップロードしているもの以外を埋め込んでしまうと、これらの人の著作権侵害になってしまうでしょう。

なお、「歌ってみた」などの他人の楽曲のカバーに関しては、適法とされる場合が多いです。なぜなら、you tubeはJASRACと包括利用契約を結んでおり、ご自身で演奏した楽曲については、著作権侵害にならないようにしているからです。

ただ、JASRAC管理楽曲ではなかったり、あとは他人が演奏したものに関しては(他人の著作隣接権がありますので)この限りではありません(他にもいろいろあります)。実際にやってみる前に、調査しておいた方が無難でしょう。

 

6、おわりに

今まで引用について長々書いてきました。しかし、引用をしたのに違法と判断されるケースは、結局、「引用」に名を借りた「盗作」がほとんどです。

自分の表現が主なら、引用元を明示して、区別して、引用すればよいだけです。要件に気を付けて、ご自身の表現を楽しんでください。

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武山茂樹

武山茂樹

北海道出身。京都大学法学部卒業後、行政書士として、建設業や産業廃棄物処理業の許認可、NPO法人設立、遺言相続や契約書作成等の業務に従事。また、行政書士会北海道ADRセンター(法務省認証)の設立と初代副センター長を経験。弁護士に登録後は、新橋虎ノ門法律事務所を立ち上げ、中小企業法務を中心に活躍。LEC東京リーガルマインドでは、司法試験の講師として、後進の指導にもあたっている。

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