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機械が手を差し伸べてくれる未来~ディープラーニングを活用して見据えた2020年の世界は~【起業インタビュー第38回】

公開日:2017.08.23

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ディープラーニングという技術をご存じであろうか。最近、様々な場面でこのワードやAI(人工知能)等を耳にする機会が多くなってきた。例えば、人間とAIが囲碁で勝負をしてAIが勝利したことや自動車の歩行者検知システムなどである。

AI(人工知能)とディープラーニングを混同されることも多いため、改めて紹介すると、まずAIは大まかに分けると以下のようになる。

汎用人工知能(AGI:Artificial General Intelligence)
特化型人工知能(Narrow AI)

我々が想像する「コンピュータがなんでもやってくれる」人工知能は、AGIと呼ばれる汎用人工知能のこと。一方、先ほど述べたような、ニュースなどで取り上げられているAIのほとんどが特化型人工知能である。特化型人工知能は、特定のタスクしか処理できず、例えば囲碁のAIならばチェスでは勝負にならない。

そして、この特化型人工知能の性能をあげる手段の一つとして機械学習と、それを発展させたディープラーニングが挙げられる。

機械学習の場合、機械に「犬」を認識させるために、大量の犬のデータを機械に与え、犬の特徴を人間が教える。一方、進化させたディープラーニングでは、犬の特徴を機械自ら学習するのだ。

そして、今回は、このディープラーニングの開発、研究を行なっている、LeapMind社の松田 総一氏にお話を伺った。

 

LeapMind株式会社 代表取締役CEO 松田 総一氏
エンジニアのスキルを可視化・マッチングするサービスを2010年に立ち上げ、シンガポール支社を設立。同事業を事業譲渡。その後、個人投資家からの出資と自己資金でLeapMind株式会社を設立。

 

インターネット全盛の時代にビジネスチャンスを

大学では会計学や統計学を専攻し、大手証券会社に勤めていた松田氏は、その知識を活かして企業調査を経験。その対象は、当時まだ注目されていなかったSNS系インターネット企業が中心だった。

その後、日本ではmixiが業績を伸ばし、アメリカではFacebookやTwitterが勢力を拡大。世界中でインターネット企業バブルが起き、投資先にSNS系インターネット企業が選ばれるように。一時的に市場規模が萎んでしまったものの、iPhoneの登場で好転。iPhoneの普及から松田氏はビジネスチャンスを見出す。

 

当時、市場調査をしていくなかで、日本で主流だったソニーの「sonic stage」とAppleの「iTunes」という音楽系のソフトウェアとでは、ビジネスモデルや収益構造が全く違っていて、Appleがもたらす新たなIT革命にはビジネスチャンスがあるはずだと。そこでiPhoneが登場して、これからソフトウェアやアプリケーションが増えていくだろうと考えたんです。

しかし、デベロッパーと言われるソフトウェアやアプリケーションの開発をする彼らはオタクとか、そういった目で蔑まれ、過小評価されていました。今後アプリケーションの増加に伴い、デベロッパーは確実に不足していくにもかかわらず、正当に評価されていない。

 

そこで、松田氏は人材の能力を定量化・数値化することで適正評価がしやすくなるサービスを展開する、自身1社目の企業を興す。

スキルのスコアリングにより、企業と人材のマッチングサービスとしてのプラットフォームを確立したこの企業は、人材の流動性という課題の解決に対して一役買い、海外の企業に高く評価され、売却に至る。

このプロダクトを作り上げていくなかで、全く知識の無かった機械学習技術を採用したことが、のちにLeapMind社の事業になるディープラーニング技術に興味を持つきっかけとなった。

 

AGIの実現性は難しい

機械学習技術について一通り経験した松田氏は、今では実装まで全てこなせるという。

 

機械学習の延長線上にディープラーニングがあります。機械学習は、統計処理と非常に近しい関係で、膨大なデータを機械に与えることにより、統計的に予測等をするものです。このディープラーニングを極めていくと、将来的にAGIのような、例えばアニメの「攻殻機動隊」のような世界ができるのではないかと思いました。

 

ディープラーニングの開発や研究を行う現在のLeapMind社を立ち上げた松田氏だが、AGIが世の中に登場するのは、今の段階では難しいという。

 

やればやるほど、AGIをつくることが難しいと感じましたね。技術的特異点のようなものが無い限り、おそらく今のままでは、AGIは登場しないと思います。AGIとは、なんでもできる、つまり人間に近いものなるということです。そうすると、人間の脳の仕組みを理解する等が必要になります。

ただ、もしAGIが開発できれば、社会全体に与える影響はとても大きなものになるでしょう。

 

ディープラーニングの魅力とは

起業当初はディープラーニングが世間に全く認知されておらず、とても苦労されたとのこと。しかし、ディープラーニングが注目を浴びる以前より不断に研鑽してきた松田氏に高い評価をしている投資家の方も多い。

 

今でこそディープラーニングについて認知度が高まり、ビジネスへ転用する機会が増えてきましたが、当時は「何を言ってるんだ」という顔をされることも少なくなかったです。夢のような話をしているわけですから、相手にされないわけですね。なので、起業1社目に培った「なんでもやる精神」で、システム開発を受託しながら、得た資金をディープラーニングの開発にまわして、資金が尽きたら受託開発をするということを繰り返していました。

 

現在、同社の技術力は注目されており、日本にしか無い拠点に世界中の有名大学から人材が集まるほど。ここまで熱中するディープラーニングの面白さをこう語る。

 

ディープラーニングでは機械にデータを与えるのですが、データが少ない初めの頃は本当にバカなんですよ。全然認識してくれない。でも何度もやっていくうちに徐々に分かるようになるんです。RPGのレベルアップと同じです。レベルが上がるとできることが増えていく。機械もできることが増えていく。この成長させていくということが楽しいです。

 

機械による「さりげないサポート」を目指す

IoT(Internet of Things)との親和性が高いディープラーニング。現在IoTは、自動車であれば、カーナビやヘッドライト、ドライブレコーダー、他にも遠隔操作できる家電、交通情報をリアルタイムで分かるサービスなど、その活用場面は多岐にわたっており、さらに多くの産業での用途が期待される。

IoTに関するLeapMindの主な取組みについて、松田氏は以下のように語る。

 

IoTの役割は、インターネットとモノという2次元と3次元の隔たりをなくすことです。今のIoTはセンサーによって温度や振動というデータしか取得できていません。しかし、ディープラーニングを用いることで、画像認識や音声認識など取得できるデータが増えます。私たちはこの次の世代のことを、「Deep learning of Things(DoT)」と呼んでいます。

PCならWindowsやMac、携帯ならAppleのiOSやGoogleのAndroidというような決められた規格、OSやフレームワークがありますが、IoTには現状これがありません。

ですから、私たちが取り組んでいることは、DoTの新しい規格、OSを作ることです。

 

「ディープラーニングには莫大な演算量が要求されるため、大きなPCを用いるか、クラウド上での計算が必要になる」と現状の課題を述べる松田氏。

この課題を克服すべく、LeapMindは、PCやクラウドを利用せずに、それのみで使用できる端末を念頭に、小型化、演算量の削減に努めている。

 

今後、ディープラーニング専用のプラットフォーム「JUIZ」のリリースを予定しています。「JUIZ」によって、家電などのコストや電力が限られる多くのデバイスにディープラーニングの技術を搭載できるようになります。

近い将来、おそらく3~5年後には、私たちLeapMindの技術が量産され、普及していると思います。そうすると、人間が機械を操作しなくてよくなります。例えば、「テレビをつける」、「電気をつける」、「電子レンジに食べ物を入れると、中身を判断し、自動的に適正な時間で温めてくれる」などですね。つまり、世の中の手動スイッチが不要になるんです。機械が勝手に判断してくれて、私たちの生活がよりシンプルになります。

私たちのコンセプトは、「機械がさりげなく、サポートしてくれる」です。シンプルになった分、人間が従来割いていた時間は、よりクリエイティブな時間に充てることができるようになると考えています。

このプラットフォームによって誰もが簡単にディープラーニングを活用できる世界の実現を目指しています。

 

編集後記

松田氏に「起業をするにあたって、大事なことがなにか」と質問した。その場では、「私が知りたいくらいですよ」と謙遜されており、多くの先輩起業家の方がいるなか、なにか不躾な質問だったなと思った。すると、後日メールが届き、「自分を信じてやりきる事かもしれません。起業家は誰も気づいてない世界にとって大事な事をいち早く気づいた人で、誰も気づいてないから話も聞いてくれないし意味も理解してもらえない」と。

LeapMindには様々な外国籍の方がいらして、とても慕われている印象を受けたが、それは松田氏がヒトを大事にしているからなのだと、このメールをいただいて理解した。

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