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【起業インタビュー第19回】転んだ数だけ強くなるーとうふ売りから始まった青年起業家の「本気」

公開日:2017.04.03

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世の中に対して、会社のビジョンを発信することは非常に大事です。
ただ、それ以前に、中で働く人が幸せでない会社が世の中を幸せにすることなんてできない、と私は心から思っています。

長身で精悍な青年起業家は、「心から」という言葉に力を込めた。

 

福田 航太(ふくだ こうた)氏
2008年リクルートに新卒入社。広告営業、事業企画、経営企画などを経験。
2013年DeNAに入社。ゲーム事業の採用責任者を務めた後は、広告事業の営業統括を経験。
2016年3月に採用や営業、人事制度設計のコンサルティングを行う「株式会社カリーグズ」を創業。2016年8月にはインフルエンサーキャスティングや女性向けマーケティングの代理事業を行う「株式会社Find Model」を創業。現在2社の経営を行う。

 

「とうふ売り」が自信に

福田氏の原点は大学時代に遡る。

私は昔から運動が大好きで、学生時代のほとんどの時間を費やしていました。
ところが、大学の部活(体育会アメリカンフットボール)では、後輩に追い抜かれてスタメンになることができませんでした。チームも掲げた目標を達成できず、自分が貢献できなかったことに悔しい思いをしていました。

一方でオフシーズンに、部活の仲間たちと一緒に「とうふ売り」のアルバイトをしました。日給にインセンティブが付く、営業系のアルバイトです。
部活ではなかなか結果が出せなかった私ですが、このアルバイトは、やればやるだけ結果が出ました。アメフトは私より上手い仲間たちも、とうふ売りでは私に敵いませんでした。自分が輝ける場を見つけて、嬉しかったですね(笑)
つまらない仕事やアルバイトをしていると時間が長く感じられ、何度も時計を見て「終わりまであと1時間もある」なんてため息をつく場合もあるかと思います。
でも、私は「とうふ売り」に対しては、「あと1時間しかない。あと何個売れるだろう。早く売らなきゃ」という積極的な気持ちで取り組めたんです。

 

リクルートの営業は甘くなかった

自らの営業スキルに自信を持ち、意気揚々と入社したリクルート。しかし、その自信は1年目で脆くも崩れ去ることになる。

入社1年目の営業成績は散々でした。目標大幅未達のため、2年目の給料は1年目より大幅に下がりました。
目標を達成して表彰される同期たちを横目に、ものすごく悔しくて。

私の持論だが、勝負に負けた人には3つのタイプがあると考えている。

まず、負けたことに悔しさすら感じない人。
次に、悔しさは感じるが、喉元を過ぎれば忘れる人。
最後は、悔しさを刻んで、次に活かす人。

2年目に奮起し、部内表彰を年間4回獲得、入社4年目には売上10億円のチームのマネージャーに着任した福田氏がどのタイプかは、言うまでもないだろう。

 

「本気」と「本気風」の違い

では、結果が天と地ほどにも違う2年目と1年目で、いったい何が変わったのか。

どこまで本気だったかどうか、それだけです。
1年目の当時の私は、「とうふをあれだけ売れるのだから営業もできるだろう」と高をくくり、先輩の仕事のやり方を1からとことん真似るという謙虚さがありませんでした。がむしゃらにアポを入れ、圧倒的な行動量を発揮することは、ただ自分の弱いところから逃げているだけでした。
先輩からは、自分がやれることだけをいくら頑張っても、それは本気とは言わない、「本気風」を演じている自己満足でしかない、と言われました。本当の本気であれば、結果を出すために何が必要なのかを頭を使って考え、自分の出来ないことを見つめ、プライドを捨て、変化を起こしにいくはずだ、と。

2年目からは、先輩を必死に観察し、真似を真摯に行い、先輩が勧める本も素直に読みました。
ただ行動するのではなく、成功するためにすべき行動は何かを考え、自分の悪いところは先輩を見習って改善する、ということができたかから結果も変わったんだと思います。

 

DeNAも甘くなかった

その後事業企画や経営企画を経験し、ビジネスマンとしての自信がついた時に転職したDeNA。「やれるだろうと思っていた」という福田氏の自信はまたもや打ち砕かれることになる。

リクルート時代は、戦略の方向性やコンセプトは上が全て決めてくれました。それを実行・推進するのが活躍のしどころでした。
ところがDeNAの場合、業界的に変化のスピードが早いため、いろんなことをその都度ゼロベースで考える必要がありました。当時の私は、自分で考えて決めるというのが周りに比べると苦手で、意思決定のシーンで良いバリューをなかなか発揮できずにいました。
結局、最初に入った部署では、実力不足で、自分をサポートしてくれた先輩方の期待にも応えられず、マネージャー(責任者)になることができませんでした。

当然、福田氏はここでは終わらない。

その後、設立したての広告部署に異動し、悔しくてがむしゃらに仕事をしました。定めたKPIも絶対達成しようと必死でした。
いつの間にか、都度ゼロベースで考えることも、苦手意識がなくなっていました。

結果は、マネージャー昇格。最初の部署で成し遂げられなかった目標は、次の部署できっちり達成した。

 

やりがいを求めて

転んで起き上がる度に強くなっていたであろう福田氏。
企業人としてもこれから十二分に力を発揮できたであろうに、なぜ起業家の道を選んだのか。

サラリーマンはサラリーマンで大変なことはたくさんありますが、起業してからは本当にお金に対してのありがたみを一層感じるようになりました。毎月決まった日に給料が振り込まれたり、有給があったりって、本当にすごいなと。
独立してからは、自分の給料分稼ぐだけでもこんなに大変なんだと、痛感しました。会社の通帳の残金を見て、震える日もあります(笑)

そういうこともある程度想定した上でなお起業に踏み切ったのは…そうですね…豊かな日本だからこそ、やりがいを求めたのかもしれませんね。
起業してから、困るときや不安なときもたくさんありますが、うまくいった時の喜びはサラリーマン時代の100倍どころではありません。日々の小さな自分のKPIを達成するだけでも嬉しいんです。そういう思いを味わいたいからこそ起業したんだと思います。

 

一緒に夢を追いかける同志

熱い福田氏の想いは社名にも込められていた。

collegues(カリーグズ)を日本語に直訳すると「同僚」という意味です。私としては「一緒に夢を追いかける同志」という意味を込めてこれを社名にしました。

世の中に対して、会社のビジョンを発信することは非常に大事です。
ただ、それ以前に、中で働く人が幸せでない会社が世の中を幸せにすることなんてできない、と私は心から思っています。何よりもまず一緒に働く仲間を大切にしたいですし、信頼関係を築きたい、一緒に楽しんで仕事をしたいんです。
そういう想いにマッチした単語が何かないかなと考えていた時に、colleguesを探し当てました。employeeだと「従業員」ですから、ちょっとニュアンスが違いますしね(笑)

自分はまだ経営者として突出して何かが優れているわけではありませんし、できないことだらけです。そんな自分が会社を大きくして成功するためには、信頼できる優秀な仲間たちを連れて来ることが最重要項目です。
信頼できる優秀な仲間たち各々が、最大限の情熱を持って楽しい仕事をしていれば、結果として企業は存続すると思っています。「やりたいことがある」と手を挙げる仲間がいて、そこに情熱があれば、「是非やって下さい」と言えるような、そんな会社でありたいです。

 

ヒルズよりハワイ

「一緒に働く仲間を大切にする」という観点から、福田氏が目指している場所がある。
時期未定ではあるものの、株式会社カリーグズはハワイに拠点を設けることを検討しているそうである。

「うちに入ったら1ヶ月ぐらいハワイで仕事をしてきていいですよ」というオリジナリティが出せれば、採用促進にも従業員満足度の上昇にも資するのではないかというのが、この計画の趣旨です。
大企業だとハワイで仕事していいよ、ってなかなか言えないと思うんですけど、会社が10人~20人規模のうちなら十分成立すると思ってるんです。あちらに開発拠点を置くか、現地の仕事を現地でやるか、日本の仕事を現地で進めるか、やり方はいろいろ考えられます。
それに、寒い時期に日本で過ごすぐらいなら、1ヶ月ぐらい暖かいハワイで仕事をしたほうが生産性も上がりそうじゃないですか。
六本木ヒルズのような家賃の高い場所にある会社や、受付がやたらオシャレな会社は、採用か従業員満足度かを目的にしていると思うのですが、そこで戦うとすでにレッドオーシャンなので、本社は雑居ビルにありつつもハワイ支社があるよ、って会社のほうがコスパよく目的を果たせるんじゃないかって思っています。

 

事業ドメイン

さて、ようやく福田氏の事業の話である。氏が手掛ける2つの会社をご紹介しよう。

Collegues(株式会社カリーグズ)

カリーグズは、主に採用と人事制度設計のコンサルティングを行う会社です。
ナレッジがオープンでない側面を有する人事・人材業界では、その単なる知識格差を埋めることを「コンサルティング」と称する人もいますが、私はそれには疑問があります。
ナレッジそのものが業界に出回ることには貢献したいですが、受信者がそのナレッジを使って実行する場面で困った時に問題解決をサポートをすることこそが「コンサルティング」と言えると私は考えています。つまり株式会社カリーグスのスタンスは、ナレッジの提供それ自体でお金を頂戴するのではなく、そのナレッジの実行場面をお手伝いするというものです。

ナレッジの浸透に関してですが、例えば私は、起業してすぐ「中途採用でやるべきこと」というブログ記事を発信しました。ありがたいことに万単位のPVをいただき、シェアも数多くしていただきました。
また、イベントを実施したり参加したりする際にも、その内容をシェアし、皆さんの発見や気づきも積極的に発信するようにしています。これからも世の中にもっといいアウトプットをどんどん提供していきたいですね。

株式会社Find Model

Find Modelはインフルエンサーと企業を直接マッチングするサービスで、「働く」と「広告」を掛け合わせたものです。
よくあるインフルエンサーのキャスティングの流れは、広告主→広告代理店→メディア→キャスティング会社→事務所→インフルエンサーと、間にたくさん会社が挟まり、それぞれの会社がたくさん「中抜き」しています。
ディレクションの介在者を減らすことができれば、広告主にとっては、1件あたりの発注単価が下がりますから、従来と同額の予算で発注量を増やすことができるというメリットが生じます。
また、インフルエンサーにとっても、1件当たりの収入が増えてやりがいがアップしますし、広告主の発注量が増えれば仕事の機会も増えることにもなります。
ディレクションの自動化・効率化をもっと進め、このビジネスモデルを成功させることで、ワーカーが中抜き会社に搾取されているような他の業界にも、サービスが展開できればと思っています。

 

入り口がたくさんある社会に

もう1つ、福田氏が特に熱を帯びた話題を記さねばならない。これからの世の中に望むことと、そこで自分が果たすべき役割について。

私は幼少期から勉強が大嫌いでしたが、両親が教育熱心だったことや祖父の援助もあり、中学受験をし、高校、大学にも進みました。
泣きながら勉強した苦痛な日々を今でも思い出しますし、学費の捻出のため両親が相当苦労している姿を見てきましたが、今ではとても感謝していますし、本当に恵まれたと思っています。幼少期の公文式に論理的思考能力を鍛えてもらい、部活を通して努力することを学び、大学を出たからこそリクルートという人に恵まれた会社に新卒で入社できたから、今の私があると思っています。
でも、自分の子には「とりあえずいい大学に行け」とは絶対に言いたくありません。勉強していい大学に行く以外にも、活躍する場や幸せになれる選択肢が豊富にある社会に少しずつ変わっていければいいな、と思っています。

新卒一括採用を廃止する企業が出てくるなど世の中も動きつつありますが、やる気、情熱、スキルがあれば活躍できる、いつでもやり返せる、そんな世の中にもっと変革することを望んでいます。それに自分が貢献したいですね。
もちろん、いい大学を出て誰もが知っている会社に就職して不自由のない生活が約束されている、そんなルートがあっても構わないと思いますし、それを壊すつもりは毛頭ありません。
ただ、入り口を増やしたいだけなんです。自分自身はその「約束されたルート」に乗るための勉強が苦痛だったので、それを子どもに押しつけるようなことはしたくないのです。

 

経営者の孤独

最後に、典型的な質問をしてみた。「よく言われることですが、やはり経営者は孤独ですか?」と。

私は独立してから半年以上は一人でやっていたのですが、その間も家族が応援してくれましたし、同時期に起業した友人たちと悩みを共有することもできましたし、今では信頼できる仲間がたくさん入ってきてくれたので、そこまで孤独感を感じることはなかったです。

ただ、「今月の売上どうしよう?」「来月の資金どうしよう?」「この会社大きくなるかな?」というストレスをフルで味わっているのは、他ならぬ自分だけです。特に立ち上げた当初は、売上金が入ってくるのは後からなので、資金がみるみる減っていって「どうしよう。いきなり会社を潰してしまうのか?」と不安でした。
今でも不安なことはたくさんありますが、何年後かに「あれを味わえるのは経営者の特権だ」と酒の肴にして笑えるようになりたいですね。

 

編集後記

「失敗体験がないと謙虚になれないのが自分の短所なんですよね」
福田氏はそう自戒していた。

そんな氏に、私はこう申し上げたい。
失敗体験をことごとく糧として次のステップで必ず結果を出すのがあなたの比類なき長所なんですよ、と。

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